帯状疱疹というウイルス性の皮膚疾患をご存じでしょうか。
今回、帯状疱疹のワクチンが50歳以下も接種可能になり、しかも一度かかったことがある人も接種が可能になりました。
帯状疱疹は50歳代から発症率が高くなり、80歳までの約3人に1人がかかります。
決してまれな疾患ではないのです。
帯状疱疹ワクチンが50歳以下も接種可能に!
帯状疱疹ワクチンは2種類あり値段も異なる
2回接種のシングリックス
筋肉内注射
1回目接種の2か月後に2回目の摂取を行う
サブユニットワクチン
シングリックスは新型コロナウイルスワクチンと一緒の接種法ですね。
ウイルス表面タンパクの一部を抗原とした組換えワクチンで、生ワクチンではありません。
1回接種のビケン
皮下注射
生ワクチン
従来の水痘ワクチン(小児期に接種する)
小児に使用する水痘ワクチンですが、2016年から帯状疱疹予防として認可されています。
自治体によって費用助成がある
50歳以上の方が原則対象でした。
過去に帯状疱疹にかかっていても接種できます。
2021年4月より50歳以下も接種が可能になりました。
摂取方法
自治体の補助がある場合
お住まいの自治体ホームページもしくは保健関係の係に問い合わせます。
助成制度は以下の内容を確認し接種を行います。
- 接種対象者
- 接種期間
- 接種指定医療機関
自治体の助成がない場合
医療機関に問い合わせ、接種しましょう。
帯状疱疹ワクチンを接種できない人
状態・症状で禁忌の人
帯状疱疹ワクチンは生ワクチンですので、以下の方は禁忌となっています。
- 妊婦
- 非完解状態の血液がん患者
- 造血幹細胞移植後
- 固形がんで3ヶ月以内に化学療法施行の患者
- 免疫抑制療法施行中(プレドニゾロン等のステロイド、シクロスポリン、タクロリムス、アザチオプリン等を投与されている場合)の患者
- HIV患者
妊娠している時やその疑いのある時には接種せず、接種後2か月間は妊娠を避けます
過去アレルギーがある人
カナマイシン、エリスロマイシンの抗生剤が含まれます。
過去にアレルギー反応を起こした方は接種できません。
別の種類の予防接種を受けた人
従来の帯状疱疹ワクチン(ビケン)
生ワクチンなので、1回接種のみになります。
- 他のワクチンとの接種間隔については不活化ワクチン(インフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチンなど):接種間隔の制限はなし
- 新型コロナワクチン: 新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンは、同時に接種不可
- 新型コロナワクチンとその他のワクチンは、お互い片方のワクチンを受けてから2週間後に接種可能(厚生労働省HP)
- 他の生ワクチン(BCG、MR[麻疹・風疹ワクチンなど]):27日あけて接種
シングリックス
筋肉注射で2か月後に2回目の接種を行います。
ちょうど2か月後が望ましいです。
しかし、事情で接種困難な場合でも6か月以内に接種する必要があります。
他のワクチンとの接種間隔については
- 不活化ワクチン(インフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチンなど): 接種間隔に制限なし
- 新型コロナワクチン: 新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンは、同時に接種できません。 新型コロナワクチンとその他のワクチンは、お互い片方のワクチンを受けてから2週間後に接種可(厚生労働省HP)
- 他の生ワクチン(BCG、MR[麻疹・風疹ワクチンなど]): 接種間隔に制限なし
インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンとの同時接種は可能です
帯状疱疹ワクチンを慎重投与するべき人
- 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患等の基礎疾患がある方
- 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある方
- 本剤の成分に対して、アレルギーを呈するおそれのある方
- 過去に痙攣したことがある方
- 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる方
- 血小板減少症や凝固障害を有する、抗凝固療法を施行している方
帯状疱疹ワクチンの副作用は?
ビケン(従来型)
- ワクチン接種による疼痛や腫れなどの一般的な副反応
- 水痘ワクチンに特異的な副反応としては接種後1-3週間後に発熱
- 2-3%に全身性の水痘様発疹
シングリックス
シングリックス®接種後7日間に起こった主な副反応としては
- 注射部位の痛み78%
- 赤み38%
- 腫れ26%
全身性の副反応では
- 筋肉痛40%
- 疲労39%
- 頭痛33%
- 悪寒24%
- 発熱18%
- 胃腸症状13%
これは体の中で強い免疫をつくろうとするためといわれています。
7日以内に多くの副反応は弱くなっていきます。
帯状疱疹ワクチンの効果はどのくらい持続する?
ビケン
アメリカの調査では、従来の水痘ワクチン(ビケン)は3~11年で予防効果が減弱すると報告があります。
対してシングリックスは9年経過しても発症予防効果が認められているとの報告があります。
シングリックスの予防効果
従来の(水痘ワクチン)と比較し帯状疱疹を予防する効果が高くなります。
以下、アメリカの研究による発症予防効果です。
- 50歳以上で97.2%
- 70歳以上で89.8%
ワクチン接種後の日常生活での注意点
従来の帯状疱疹ワクチンでもシングリックスの場合でも
- 接種部位は清潔に保つ
- 接種当日は激しい運動は控える
- 接種部位をこすったりもんだりしない
入浴はできます。
接種後1週間は副反応の出現に注意し、気になる症状があらわれたらすみやかに受診してください。
帯状疱疹とは
原因:水痘・帯状疱疹ウイルス
- 加齢:50歳以上になると発症率が急増し、帯状疱疹患者の約7割が50歳以上
- ストレス
- 過労
症状
- 通常右側、または左側どちらか一方に出るのが特徴
- 痛みを伴う皮膚症状が3週間ほど継続
- 神経痛出現後1週間程度で赤い斑点
- 水膨れがやぶれた後はただれた状態になる
- 通常3~4週間続く
重症度
軽症:狭い範囲から始まり、痛みが激しくない
中等症:水ぶくれも多数みられ、痛みも強くなる
重症:皮膚症状も水ぶくれが大きくなり、痛みも激烈、全身に水ぶくれがパラパラと現れる→入院治療が必要
帯状疱疹は、多くの方が子供のころにかかる「水痘・帯状疱疹ウイルス」が原因です。
水痘・帯状疱疹ウイルスは水疱瘡(みずぼうそう)を引き起こすウイルスで、日本人の多くは幼少期に水疱瘡に罹患しています。
日本の成人の9割以上がこのウイルスを保有しています。
水疱瘡にかかった後、症状がおさまってもウイルスは完全に除去されるわけではありません。
実は神経細胞に残ってウイルスが、神経に潜伏しているのです。
ストレスや免疫力が下がったことをきっかけに「再活性化」し、帯状疱疹として発症します。
また帯状疱疹後神経痛(PHN)への移行リスクも高くなります。
痛みの特徴
潜伏している神経細胞の奥から体内の神経を経由して体表に出てこようとします。
そのためまず神経が痛み(神経の炎症)、その後皮膚症状(皮膚の炎症)が発症する、という順序で帯状疱疹は進行します。
症状としてはまずピリピリ、チクチク、ズキズキといった神経痛が出ます。
1週間程度で痛みがある部分に赤い斑点が見られるようになります。
刺されたような痛み!
帯状疱疹は通常どうやって治すの?
ウイルスを抑制する抗ウイルス薬が治療の中心となります。
できるだけ早く、できれば皮疹が出てから3日以内に抗ウイルス薬を投与します。
早ければ早いほどウイルス増殖が抑えられるので、
重症化や帯状疱疹後の神経痛を予防できます。
帯状疱疹に合併症はあるの?
ウイルスによる角膜炎、結膜炎といった眼の合併症、顔面神経麻痺、難聴など重篤な合併症もあります。
頭や首の帯状疱疹の場合、特に注意が必要です。
眼合併症 | 角膜炎、結膜炎、ぶどう膜炎など |
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ハント症候群 | 顔面神経麻痺、耳鳴り、めまい、難聴など |
中枢神経系合併症 | 無菌性髄膜炎、脳炎、脊髄炎など |
末梢運動神経障害 | 運動麻痺、筋萎縮、膀胱・直腸障害など |
播種性帯状疱疹 | 肺炎、肝炎、脳炎など |
帯状疱疹ワクチンまとめ
2021年4月より50歳以下も帯状疱疹ワクチンを接種できるようになった
ワクチンの種類は2種類
シングリックス
- 高価
- 効果が高い
- 2回接種
- 新しいタイプのワクチン
ビケン
- やや効果は劣る
- 費用がリーズナブル
- 従来の水痘ワクチン
- 生ワクチン
接種スケジュールはワクチンによる
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